@ ダムとは?
   ”渓谷、河川、凹地など横断して築造される構造物、およびその付帯構造物の総称” です。
   なおダムはその目的により以下に分けられます。

   貯水ダム=利水あるいは治水のために水を貯留する施設
   取水ダム=用水の取り入れに必要な水位を確保する施設
   砂防ダム=流送砂礫を貯留または調節する施設

   世界大ダム会議が決めている定義(日本も採用)では、基礎から天端(クレスト)までの鉛直距離(堤高)が15m 
   以上のダムを「大ダム large dam」 と称しています。日本ではこの定義にあったものを「ダム」として管理していま
   す。
   15m以下のダムには特別の名称はありませんが、「小ダム」と言っても間違いではありません。

A ダムの用途
   ダムは主に洪水調整、農業、工業、生活用水の確保、水力発電、下流の河川の流量維持等のために造られま 
  す。
   洪水調整とは、たとえばある川の上流に150の雨が降ったとします。地中にしみこんだり木々に吸収されるなどし
  て130の水がダム湖に流れ込んでくるとします。ダムがなければその130はそのまま下流に流れてしまい、下流域
  の川の容量100しかなかったとすれば残り30は行き場をなくし、川は氾濫、洪水となります。
   雨は予め予報によって知ることができるので、雨の降る前にダム湖の水位を落としておき、ダム湖に流れてくる1
  30の水のうち40をダム湖に貯め90を放流してやれば下流は洪水にならなくてすむ。というメカニズムです。
  また、逆に干ばつなどの時にはダム湖の水を放流してやることにより、下流の河川の流量を保つことができます。
   用水の確保については、日本は比較的雨が多く河川も多い国ですが、その河川は大陸諸国を流れる河川と違い
  どれも急流です。山間部に降った雨はものの数日で海へと流れ出てしまい実際に使用できるのは数%もありませ 
  ん。よってダムを建設して効率よく取水しているのです。
   水力発電はダム湖に貯めた水を放流するときの落差による運動エネルギーによって発電機のタービンを回して発
  電します。水力発電では昼間に発電に使った水を下流のダムに貯めておき、夜間、電力使用量の少ないときに火 
  力、原子力発電所の電気を使用し下流ダムの水を上流のダムに戻して、また昼に発電する。と言ったような揚水発
  電を行う所もあります。

B ダムの形式
重力式コンクリートダム
  
  もっともポピュラーなダムで水圧をダムそのものの重
量で支える方式のダムです。地盤にある程度の強度があ
れば建設でき、構造が簡単で巨大なものが建設しやすく、
最近造られるダムのほとんどがこの方式です。


中空重力式コンクリートダム

  重力式コンクリートダムの内部を空洞にしたダムで、コ
ンクリート量は節約できますが、構造が複雑なので最近で
はあまり造られていません。
  また、重力式に比べ強度、重量が少ないので巨大なダ
ムは造れません。

アーチ式コンクリートダム

  アーチの持つ力学的特性によって、水圧のほとんどを
両岸の岩盤に伝えることによってささえます。要するにトン
ネルと同じ原理です。堤体を薄くすることができ、経済的で
すが、両岸の岩盤に水圧を支えるだけの強度が必要とさ
れます。
 
バットレス式コンクリートダム

  扶壁式中空鉄筋コンクリートダムとも言われ、コンクリ
ート板を上下左右に組んだ扶壁(バットレス)で支える型式
のダムです。使用するコンクリートは少なくてすみますが、
構造が複雑で頻繁なメンテナンスを必要とするので最近で
は造られていません。現在国内には僅か6基が存在する
のみです。
ゾーン型ロックフィルダム

  ロックフィルダムとはコンクリートを原料とせず岩石を
原料とするダムのことです。地盤があまり強くなくとも建設
でき、堤体中心部(コア)に粘土質の土を使用し水を染み
込ませない為の壁をつくり、その表面に岩石を並べる構造
で堤体を強固なものにしています。ただ堤体上に洪水吐き
を作れないなど構造上の欠点もあります。
表面遮水型ロックフィルダム

岩石を原料とするのはゾーン型フィルと同じですが、コンク
リートやアスファルトで遮水壁を貯水池側表面に設置して
いる形式です。遮水部分が表面にあるのでメンテナンスや
施工が簡単という利点があります。


 
アースダム

  アースフィルダムともいい、主に土を材料としているの
で、土堰堤とも言います。構造、施工ともに簡単ですが、
大規模なダムの建設には適しません。
 アースダムにもすべてを均一な土質で作られた「均一型
アースダム」と異なるいくつかの土質で構成された「ゾーン
型アースダム」等の種類があります。

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