天神ダムは国営大淀川右岸農業利水事業の一環として宮崎市、清武町、田野町にまたがる約2000haの農地に農
業用水を供給するために作られた灌漑ダムで、宮崎県内では初めてのゾーン型ロックフィルダムとして竣工しました。
 現在宮崎県内に現存するロックフィルダムで天神ダムより先に竣工したダムとしてはは「門川防災ダム」があります
がこれはどうやら表面遮水式のダムと考えられます。
 最近のダムでは珍しく洪水調整機能などを持たせた多目的ダムではなく、純粋に灌漑用水専用のダムとして設計、
施工されているのは意外に思えましたが、純粋に宮崎県の農業の近代化、農業経営の安定を図ったためだと思われ
ます。
 また、最近竣工したダムのダムサイトにありがちな資料館、ダムサイト公園なども一切なく、どちらかといえば硬派な
ダムであると思いました。ただし管理所の職員さんはとてもよい方で、監査廊こそ入れませんでしたが管理所内の見学
などをさせていただきました。
 天神ダムの近所には温泉施設などもあり、ダム見学で疲れた体を癒すのにもよいと思います。

 
  左岸側から天端を見たところ。
 手前に見えるのは洪水吐、やや天端の中央部分が盛
り上がった感じがします。
 側水路式の洪水吐、貯水率100%ということで越流していました。
 さらさらと流れ落ちる水がとても綺麗です。
 なお、この洪水吐の形式は各ダムによって違った呼び方をしているようです。(横越流式など)
 洪水吐に架かる橋から下流を望む、なだらかな人工の滝がこの先に形成されているはずです。
 減勢工のすぐ下流側からは仮排水路を利用した放流管からの水が流れ出ていました。
 洪水吐に架かる橋の上から提体下流面を見る。
 まだ出来て新しいダムだけあって雑草なども生えてなく綺麗なリップラップを見ることが出来ました。
 天端から下流を見る、提体下流には広場が広がっていました。特に公園などに整備されてはなく、漏水量監視用のセンサーへ通じる建物のみポツンと建っていました。
 奥に見える高架橋は宮崎自動車道です。
 天端からダム湖を見る。
 ゴミひとつ浮いていないとても綺麗なダム湖です。ダム湖畔では山火事に備えての防火訓練が行われていました。
 左側に見える白い建物は取水設備です。
 右岸側から天端を見る。
 私のほかにもダムを見学に来られた方がいました。
 なお天端上に轍の跡が見えますが一般車は通行禁止でした。
 天神ダムの関係者有志によって寄贈された石像、南九州地方に古くから伝わる田畑の神様「田の神さあ」といわれるそうです。
 管理所のベランダから見た提体、ダム見学のベストショットはダム管理所であることが多いですが、このダムもそのようです。
 青い空とダムがとても綺麗でした。
 天神ダム管理所の操作室、当然管理人様の許可を得て撮影させていただきました。
 右のほうで外を眺めているのが管理人様です。
 
 洪水吐導水路内?からダムを見上げる。逆光になってしまったのが残念です。
 なおこのダム、下流面を綺麗に見ることの出来るスポットを探し当てることは出来ませんでした。
 ダム右岸側からダム湖を見たパノラマ写真、綺麗なダム湖でした。


天神ダム緒元
形式 中心遮水ゾーン型ロックフィルダム
目的 灌漑用水
河川名、水系 大淀川水系境川
左岸住所 宮崎県北諸県郡山之口町大字山之内
提高 62.5m
提頂長 441.7m
提体積 2,313,000m3
集水面積 10,200u
湛水面積 57.2ha
総貯水容量 6,700,000m3
有効貯水容量 6,200,000m3
クレストゲート 側水路式1門(幅67.0m×高さ?m)
仮排水路 トンネル2R=5.3m(馬蹄型)
事業者 九州農政局
施工者 前田・清水・さとうベネック
竣工 2001年
ダム湖名
関連ホームページ 九州農政局宮崎農業利水事務所
上記緒元は基本的にはダム案内図を元に制作しておりますが、一部日本ダム協会様の
ダム便覧を参考に作成しております。


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